2022年8月8日月曜日

マムシがまた現れる

                     
 月遅れ盆が近いので、後輩が夏井川渓谷にある隠居の庭の草を刈ってくれた。草刈り機を握って左右に動かすのはもうきついという。自走式の草刈り機を歩いてコントロールしながら、一日がかりで上と下の庭をきれいにした。

 もう何回か頼んでいる。「勝手知ったる他人の家」の庭だ。私たちがいなくても、自分のペースで作業を進めた。

 夕方、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)経由で連絡がきた。「一応終了しました」。それに続いて、「マムシ君、いつもの場所にいました」。

 やれやれ。去年(2021年)はマムシの姿を見なかったので、すっかり警戒心が薄れていたが、これでは気が抜けない。

 きのう(8月7日)の日曜日朝、隠居に着くとまず、「いつもの場所」にマムシがいるかどうかを確かめた。うーむ。いないことを願っていたのに、とぐろを巻いて休んでいるではないか。

 いつもの場所とは、隠居の真ん前、高さ1.5メートルほどの石垣で仕切られている上の庭と下の庭をつなぐ枕木の“桟橋”のことだ=写真。

 枕木を3本横に並べ、何カ所かに滑り止め用の板を打ち付けて、階段代わりにした。上部の支えが朽ちたため、上の庭からは20センチほどずり落ちている。

そのずり落ちたてっぺんに、一昨年まではいつもマムシがとぐろを巻いて休んでいた。石垣がすき間だらけなので、人間が近づけば、すぐそこに逃げ込む。マムシにとってはいい休み場に違いない。

そのへんにマムシがひそんでいると知ったのは、今から15年前の平成19(2007)年7月だった。

いわきに住む中学校の同級生(大工)が隠居の濡れ縁を改造中、同じ場所の石垣の上でマムシに遭遇した。同級生の撮った写真のコピーが残っている。

 その後はマムシの姿を見ることもなかったのだが、後輩が草刈りをしたときに遭遇して以来、隠居へ行くたびにマムシがいつもの場所で休んでいるようになった。

私は、隠居へ行くと西側の菜園で土いじりをする。カミサンは隠居の前を中心に、庭の草むしりをする。そうやってカミサンは何年か前、スズメバチに刺された。

カミサンもマムシがいることは承知しているが、変に熱中するとそれを忘れて石垣の方へ行きかねない。今度も後輩の情報を伝え、私が目撃した様子を話して、庭には野生の危険がひそんでいることを強調した。

一昨年は1匹だけではなかった。もう1匹が桟橋より左側の上の庭の縁にいた。棒で追うと、2匹とも石垣のすきまに消えた。やはりそこがすみかになっているらしい。

 マムシはネズミやヒミズ、トカゲなどを捕食するという。渓谷は小さな生きものたちの王国だ。なかでも隠居は、月曜日から土曜日までは生きものたちの天下になる。草を刈ってもらったおかげで、その危険がしばらくは可視化できるようになった。

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