残留コハクチョウの「エレン」は今どうしているだろう。国道399号に沿って流れる小川・三島地内の夏井川にいたころは、毎週日曜日、夏井川渓谷にある隠居への行き帰りに、必ず確かめたものだが……。
5月27日の大水でエレンが流された。日曜日の同29日、三島を通るとエレンの姿がない。どうしたんだろう? 案じていたら、「白鳥おばさん」のSさんから連絡があった。小川・三島の夏井川からざっと2.5キロ下流のナシ選果場付近にいるという。
6月に入って最初の日曜日(5日)、隠居からの帰りに寄り道をした。下小川の水田地帯のあぜ道を利用して、夏井川左岸の堤防に立った。
そこは平市街の下流、わが生活圏と違って、堤防を車で往来することはできない。堤防のそばまで車で行って、あとは歩いて確かめるしかない。堤防の上に出ると、双眼鏡で見るまでもなかった。選果場のやや下流、右岸の水辺にエレンがたたずんでいた=写真。
対岸は丘陵が迫る西小川。竹を中心にした岸辺林が続く。そばを県道小川赤井平線と磐越東線が走っている。
このため、下小川の夏井川は国道399号から遠く、右岸の県道を通っても、川筋は見えない。6月、7月と、三島の夏井川をながめて通るたびに、なんとなく寂しい思いがした。
8月に入るとまたSさんから連絡があった。エレンの姿が見えなくなったという。獣に襲われた可能性がゼロではない。が、現時点ではいなくなったということしかわからない。
それが一つ。もう一つは、左の翼をけがして残留したコハクチョウが1羽、偶然にも下小川地区にいる。そのコハクチョウに関する情報だった。
エレンが下小川に流れ着いたあと、同じ下小川のあぜ道や田んぼの中にいる別のコハクチョウの写真がフェイスブックにアップされた。
Sさんはこちらのハクチョウにも2日に1回、玄米をえさとしてやっている。「コレン」と呼んでいるそうだ。
といっても、エレンと共に三島に一時残留していたコレンとは別の個体だ。最初のコレンは、今年(2022年)の「4月5日にやって来て5月6日にいなくなった」(Sさん)。
けがをしていたわけではない。幼鳥で、その後、体力を回復したらしく、本能的に北へ向かったと思われる。
下小川のコレン、つまり「第二のコレン」について、Sさんはこんなエピソードを教えてくれた。浅瀬でえさをやりながら、「白鳥の湖」をくちずさんでやると、目を細めるようにして聞いているのだそうだ。たびたび対面していれば、ちょっとしたしぐさや表情の変化がわかるようになるのだろう。
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