大型連休が始まって間もない日の宵、にわか雨になった。すると、わが家(米屋)にエド君が飛び込んできた。びしょぬれだった。「傘、ありませんか」。あったら売ってほしいということだった。
カミサンが応対した。だれかが置いていった「コンビニ傘」がある。そのなかの1本を進呈した。
そのとき、カミサンがいろいろ聞いたらしい。名前はエド、32歳。ラーメン店の近くにアパートがある。歩いてスーパーのマルトへ買い物に来た帰りだった。「また来ます」といってわが家を出た。
それから1週間後、エド君が顔を出した。そのとき、ドライマンゴーを置いていった。包装紙には「金呂宋」や「芒菓乾」の漢字のほかに、「グァダルーペ」「フィリピン」
「セブ」といった英語が印刷されている。「呂宋」はルソン、「芒菓」は「芒果」、つまりマンゴーのことだった。
セブ島でつくられた「グァダルーペ」という商品名のドライマンゴー、ということらしい。ドライといっても硬いわけではない。しんなりしている。味も濃い。甘さがしばらく口に残った。
そして、3回目。今度は私も会った。ドライマンゴーをお礼に持って来たとき、ブログでその顛末を書いた。すると、エド君の知り合いだという人がブログにコメントを寄せた。
「突然のコメントで失礼します。エドくんと知り合いのものです。こちらのブログと偶然出会い、彼に教えてあげました。とても感動していましたよ」
ドライマンゴーを持って来たのが5月。コメントが入ったのが7月。それからざっと1カ月余りたってからの再々訪だ。
しかも、今度は彼女と一緒である。大阪土産の「大阪さくさくワッフル」=写真=までちょうだいした。
エド君は4月からいわきで、彼女は5月から大阪で働いている。マニラ首都圏の南にエド君の家が、北に彼女の家がある。いわきを例に、「勿来と仙台くらい離れている」という。
彼女は大阪で介護の仕事をしている。第一印象は日本人、そう思うほど顔立ちが日本人によく似ている。
それで、施設利用者も日本人と勘違いするらしく、なにかというと「わからへんの?」とくるそうだ。
東北人のわれわれさえ大阪人は「わからへん」のだから、フィリピン人の彼女が「わからへん」のは当然というと、大笑いになった。
たった1本のコンビニ傘が取り持つ縁で、いいカップルと出会うことができた。晩酌のときに、さくさくワッフルを食べた。とてもさわやかな味がした。
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