2022年8月12日金曜日

翅をもった隣人・下

        
 わが家は店(米屋)と住まいがつながっている。家の玄関と店の戸を開けると、風の通り道ができる。風だけではない。ハチが現れる。チョウが、セミが現れる。ときには、スズメやヒヨドリが迷い込む。

 鳥には、すぐにでも出てもらう。そのために、あちこちの窓を開けて逃げ道をつくる。ハチは自分から庭へ出ていくのを待つ。

 ときどき、風の通り道で虫が死んでいる。先日はクロアゲハが店に転がっていた。翅の表面は真っ黒。ひっくり返すと、後ろ翅の縁に赤班が並んでいる=写真上1。

 雄には後ろ翅前縁に白い帯が見られるそうだ。表面の前翅を開くと、後ろ翅の付け根に白い帯があった。ネットの図鑑で照合すると、クロアゲハの夏型の雄らしかった。

クロアゲハに似たガにアゲハモドキがいる。形や色が似ている。こちらの触覚は櫛のようになっている。念のために死んだチョウの触覚を確かめる。モドキではなかった。

 ジャコウアゲハとアゲハモドキもまちがいやすい。といっても、ジャコウアゲハを見たのは2年前の初秋が最初だった。

四倉・薬王寺を訪ねたとき、参道沿いの草むらにアゲハチョウの仲間が止まっていた。キアゲハにしては開いた翅の色が薄い。銀色がかっている。白い紋様も独特だ。写真に撮ってデータをパソコンに取り込み、ネットで検索したら、ジャコウアゲハの雌だった。ジャコウアゲハは毒蝶だそうだ。

 ほかに、わが家の庭でどんなアゲハチョウを見たか。アオスジアゲハ。キアゲハ。拙ブログによれば、モンキアゲハらしいものもいた。

 13年前の今ごろだ。「クロアゲハかな」。カミサンが庭から呼んだ。急いで庭に出ると、大きな黒いチョウがホトトギスの葉に止まっていた。カメラのシャッターを2,3回押したら、ヒラヒラ空に舞い上がった。黒い翅に白い紋がある。図鑑に当たると、モンキアゲハらしかった。

そのときの文章。――庭は狭い。そこに種々雑多な木が植わってある。カキ・プラム・ニシキギ・カエデ・ムラサキシキブ・ビワ・サンショウ・フジ・ミツバアケビなどのほか、生け垣代わりのマサキとサンゴジュが隣地との境界を仕切る。

これにホトトギスやミョウガ、シラン、イカリソウその他の草花が密生する。混植が過ぎて緑自体が窒息しそうなくらいだ――。

モンキアゲハは本州の関東以西、四国、九州、南西諸島に分布するという。いわきは東北と言っても北関東圏とそう変わらない。いわきに迷い込んで来たのか、定着したのかはむろんわからない。

3週間ほど前、台所の軒下にあるパセリの葉と花を食べるキアゲハの幼虫2匹の話を書いた。先端の花に迫る幼虫=写真上2=を見たのが最後だった。

 2匹はそれから1~2日後、姿を消した。どこか庭木の葉陰に移動して、さなぎになったのだろう。時期的にはもう羽化して、そのへんをヒラヒラ飛んでいるかもしれない。

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