テッポウユリ(九州南部や沖縄などに分布する在来種)とタカサゴユリ(台湾原産の外来種)の交雑種だという。
初めて気づいたのはいつだろう。35年はたつのではないか。5年前に書いた文章があるので、それを抜粋する。
――山を削って道路ができる。と、8月中旬以降、切り通しに白い花が咲き出す。その数がハンパではない。わが生活圏では平・草野の農免道路、常磐道、国道6号常磐バイパス(現国道6号)。最近では近所の道端、側溝、住宅の庭や生け垣でも見られるようになった。
ある意味では侵略的な植物だ。見つけたら抜き取り・刈り取りをするのが基本だが、つい白花の清楚さに惑わされて見守ってしまう。すると、花が咲いたあとにものすごい数の種が風に飛ばされ、あちこちで根づき、花が咲いてまたものすごい数の種を散らす。
そうして日本列島を北上しつつあるのだろう。福島を通り越して宮城県まで分布の範囲を広げている。
異常な繁殖力に気づいて、旧知の植物研究者に聞いたことがある。「タカサゴユリは8月の下旬から9月にかけて開花する」。その性質を受け継いでいる。
「翼を持つ種が風にのって多数飛散し増え続け、飛んできた種子が根をおろして球根を形成し何年もその場所で咲き続ける。広範囲に一斉に開花し見事な景観を呈する」
今は「何年もその場所で咲き続ける」意味が少しわかってきた。「何年かはそこで咲き続けるが、やがては姿を消す」ということでもある。平・草野の農免道路の切り通しでは、今はほんの少ししか見られない。
“連作障害”が起きて、球根が枯死するらしい。そのころには木々や在来の草も茂るから、新しい種が飛んできても根づく環境ではなくなっているのだろう。「旅するユリ」といわれているそうだ。
わが家でも、2016年、生け垣のたもとにシンテッポウユリが芽生え、花を咲かせた。翌年も同じところから芽を出した。ほかのシンテッポウユリは地べたから30センチくらいのところで咲いているのもあるが、わが家のシンテポウユリは背が高い。九つあるてっぺんの蕾まで2メートル30センチはあった。花が咲いたらすぐ切って部屋に飾り、しおれたらごみ袋に入れて始末する――。
さて、今年(2022年)はわが家の庭からシンテッポウユリを駆逐することにして、芽生えたらすぐ引っこ抜く作戦に出た。
ところが、家(米屋)の前の「犬走り」で丈の低いシンテッポウユリが咲いていた。カミサンは「きれいだから」とそのままにしている。南隣の義弟の家の玄関前にもシンテッポウユリが咲いている。そちらまでは目が届かなかった。店の方は蒴果ができかけたので、根ごと引っこ抜いてごみ袋に回収した。
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