2022年12月10日土曜日

護岸工事の回覧

                                
 夏井川の堤防を通っていて、「おやっ」と思った。左にカーブする対岸(平山崎)の堤防で工事が始まった。堤防がそのまま川に突き刺さっているような淵だ。そこでも強じん化のメスが入った。

 河口までおよそ5キロという平野部なので、川はあちこちで大きく蛇行する。瀬と淵が繰り返し、両岸の瀬には土砂が堆積して、運動場が何面もとれるくらいのスペースが広がる。

 「令和元年東日本台風」以来、夏井川では支流域も含めて河川敷の堆積土砂除去と護岸工事が進められている。

 冒頭の個所は、河川敷が狭く、上流側が私有地なのか、慣行でそうなのか、最近まで畑として利用されていた。そこでも工事が始まった(私有地であれば用地買収が完了したのだろう)。

 「おやっ」と思った場所の工事は、市内2業者による共同企業体が請け負った。地元に近い業者から連絡が入った。住民に工事の告知をしたいというので、回覧をつくってもらった。

工事をするところは対岸だが、こちら側(左岸)の広い河川敷でもなにか関連する作業が始まるらしい。

 工事に際しては騒音、通行などの支障が出るかもしれない、住民の安全を第一に考えて工事をするので理解と協力を――と回覧にあった=写真上1。

 新川が合流するあたりを境に、右岸の上・下流で盛んに重機が動き回り、ダンプカーが堤防天端(てんぱ)を行き交っている。

私が車で行き来する左岸側は、平・鎌田地区を除いて工事は一服している状態だが、やがて急カーブの個所と同じように、未工事部分にも重機が入るのだろう。

まずは工事の状況を頭に入れておかないと――。回覧を配ったあと、左岸の堤防から対岸の現場をじっくり見た。

現場は堤防との間がほんのわずかしかない。最近まで畑があった上流側から下流へと、重機1台分の通路が設けられた。その通路を使って重機が土砂を運搬している。

淵の下流、瀬が始まるあたりの岸辺が一部、削られていた。なんと、緑が覆う土の下にコンクリートブロックの護岸があったのだ。

前に改修されたときにはもちろん、護岸がむき出しだった。大水のたびに土砂が堆積し、コンクリートブロックが土中に埋まるまで厚みを増して、緑で覆われた、というわけだ。

淵の近くでそうなのだから、直下の瀬の堆積は半端ではない。重機が河川敷を動き回って土砂の山を築いていた=写真上2。そんな土砂の山が上流の北白土にもある。

浸食・運搬・堆積が「河川の3作用」だという。岩石が侵食されて岩くずになり、土砂とともに流され(運搬)、流れがゆるやかになった下流にそれらが堆積する。

大水は流速と流量次第でどこにでも土砂を置き土産にする。わが生活圏の河川敷だけでも、それが何メートルにも及ぶことを工事が教える。

10年後、20年後、いや30年後。私が夏井川をウオッチングしてきた時間を未来に当てはめると、どんな夏井川になっているか、なんとなく想像がつく。

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