2022年12月15日木曜日

鳥の巣

                     
  木々が葉を落とすと、鳥が幹と枝を利用してつくった古巣が現れる。夏井川渓谷の隠居でも、ときどき、鳥が庭木に巣をかける。それも、人の背丈ほどのところに。

 隠居の玄関わき、南側の雨樋のそばに実生の若いカエデがある。そこにあった古巣をカミサンが回収した=写真。

 前はその反対側、北向きの台所のそばのカエデにヒヨドリが巣をかけた。たまたま台所の裏へ行ったら、ヒヨドリがあわてて飛び立ったのでわかった。

 それだけではない。上の庭と下の庭を区切る石垣の一角にクワの木があった。もう10年以上前になるが、カミサンがこの木の枝を剪定中に古巣を見つけた。これもたぶん、すんでいたのはヒヨドリ。

去年(2021年)の今ごろも、ネギ苗床のそばに鳥の巣が落ちていた。こちらはとても小さい。直径は8センチ。細かい枝のほかに、ブルーシートのほつれを巣材として利用している。大きさからするとメジロだろうか。持ち帰って、カミサンの古巣コレクションに加えた。

隠居へ行って土いじりをしたあとは、家の周りの地面を見て回る。キノコは、冬も、春も発生する。梅雨時には地中に眠っているマメダンゴ(ツチグリ幼菌)を、潮干狩りよろしく熊手をガリガリやって探す。秋はむろん、キノコが地面と樹木に現れる。

 その意味では、1年中、キノコのことを思い浮かべながら家の周りをうろつく。それで営巣中のヒヨドリも、びっくりして飛び出したのだろう。

 ヒヨドリぐらいの古巣ならかわいいが、カラスとなると直径は40センチぐらいになる。とてもコレクションには加えられない。

わが家の近くに故義伯父の家がある。クスノキの若木がちんまりと枝葉を広げている。2014、15年と、カラスが2年続けて巣をかけた。子育て時期が過ぎたところで、近所の造園業者に頼んで“散髪”した。

 カラスの古巣を壊さないように切ってもらった。堅牢にできている。幹と枝のまたに木の枝を組み合わせて円形の“産座”をつくった。

下段はやや太く丈夫な枝、中段はそれより細い枝で、くちばしで枝をしならせながら編みこんだようだ。その枝と同じくらいの太さのハンガーが6~7個、組み込まれていた。

隠居の鳥の巣に話を戻す。巣材には人間の暮らしの痕跡がみられる。ブルーシートはその典型だ。

劣化するとぼろぼろになる。細長くほつれたシート片が地面に落ちている。見つけ次第、回収する。

ここまでほつれてしまうと、風に飛ばされやすくなる。最後は川から海へと流される。そうならないように、あらかたは片付けたが……。今年の古巣には、それらしいものはない。それだけでもホッとする。

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