2022年12月13日火曜日

師走の日曜日

                      
 師走はやはり、人間も天気も忙しい。12月11日の日曜日朝、いつものように夏井川渓谷の隠居へ出かける。

 空には鉛色の雲が広がっていた。時折、霧雨でフロントガラスがぼやける。小川町に入ったとたん、本降りに変わったと思ったら、すぐやむ。また降ってくる。鍋底に穴が開いたり、ふさがったりしたような降り方だ。

 前の週の火曜日(12月6日)、雨上がりの街の後方に連なる標高700~800メートル級の山が冠雪していた。それを思い出す。

 渓谷の隠居は標高が200メートルほど。経験則からいうと、6日前も雪ではなく雨だったはず。そう踏んで、県道を駆けあがった。

 平野部から一段上がった高崎に入ると、雨はピタリとやんだ。渓谷までの「地獄坂」では、カエデがまだ紅葉をまとっていた。

案の定、雪はどこにもない。隠居の対岸の木々は、モミとマツの緑を除いてすっかり葉を落としていた=写真上1。

 カミサンは自宅の生け垣の剪定と片付けをするという。ではと、久しぶりに1人で渓谷へ向かったのだった。

 師走に入ると、「雪」と「凍土」が頭をかすめるようになる。雪が降って道路に残るようだと、隠居へは行けない。

スタッドレスタイヤに替えればいいのだろうが、どうしてもいわきの平地の暮らしに引きずられる。

平地では、まず雪は降らない。降っても春先のことで、すぐ消える。怖いのは日陰のアイスバーンだが、そんなときには車に乗らない。遠出も、むろんしない。旧冬はそうしてノーマルタイヤで過ごした。

隠居では洗面所と温水器の凍結・破損を何度か経験している。対策は簡単だ。水道管の元栓を閉めて水を抜く。

小春日だからと油断して元栓を閉めずに帰ったら、翌日あたり急に冷え込んで破損した、というケースがほとんどだった。

地温も畑を掘って生ごみを埋めるときに確認する。真冬には5センチ以上、地面が凍る。凍土ができると、スコップがはね返される。つるはしで凍土を割ったこともある。

11日はスコップがすんなり入っていった。まだ凍土になる気配はない。辛み大根と三春ネギを数本掘り取り=写真上2、敷地の隅に積んである剪定枝をチェックし、キノコの有無を確かめて隠居をあとにした。

滞在わずか30分。帰宅して昼食を取り、一休みしたところへカミサンの実家(米屋)から電話が入った。お歳暮用のもちができたという。

そうだった。師走に入ると、お得意さんや親せき、世話になった人に歳暮のもちを配る。もちは電気もちつき器でつくる。もち米は、ドラム缶を利用した“まき釜”に蒸籠(せいろ)を三段重ねにして蒸す。

何年か前までは、釜の水を沸騰させ、その蒸気でもち米をふかす「釜じい」(火の番)が私の役目だった。

今はその役目から開放され、何人かにもちを配るだけになった。さっそくもちをもらいに行き、その足で2軒の家を回った。さらにそのあと、魚屋へ刺し身を買いに行き、知人の通夜へ出かけた。

もう師走も半ば。あれこれ宿題が残っている。それを思い出しながら、翌月曜日ももちを配った。

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