2022年12月27日火曜日

ナラ枯れ木伐採

                     
 日曜日は夏井川渓谷の隠居で過ごす。前は何の考えもなく、県道小野四倉線を行き来した。が、このごろはナラ枯れが気になって仕方がない。

 令和2(2020)年の月遅れ盆の入りに、渓谷の入り口に当たる高崎(小川町)で初めて対岸が茶髪になっているのに気づいた。

万緑の盛りのころに葉が枯れて赤茶ける――。これには驚いた。以来、車で出かけるたびに平地の丘陵、郊外の里山をチェックするようになった。

 同年8月25日付のいわき民報によると、いわきでは平成30(2018)年、田人地区ほかでコナラなど50本のナラ枯れが初めて確認された。

 その後、勿来・大久・小川などの中山間地のほか、平地の平・内郷・錦といった街中でも被害が相次ぎ、令和2年にはナラ枯れが数百本に急増した。

夏井川渓谷の入り口付近で見たものは、そのなかの数本だったわけだが、もっと奥、あるいは上流まで広げると、被害木は何十本にもなっていたに違いない。

県道沿いの大木も被害に遭っている。私が路上への落枝・倒木を気にしているナラ枯れの木は4本。気づいてからだけでも2年余りがたつ。

この4本を観察してわかったことがある。夏には茶髪のためにはっきりしていたナラ枯れは、紅葉時期になるとほかの広葉樹と区別がつかなくなる。

カエデも落葉した今、新しいナラ枯れ木には葉の一部がいっぱい残っている。周囲の木が落葉しても被害木の葉は落ちない。

普通の落葉樹は、秋、葉柄の根元と枝の境目に離層ができて、葉柄ごときれいに枝から葉が落ちる。ナラ枯れ木には落葉に必要な葉柄基部の離層が形成されない。

その後、枯れて乾いた葉が強風に引きちぎられてかたちが失われていく。葉の一部だけが葉柄部分に残っていることで、被害木であることがわかる。

ロックシェッドのすぐ近く、山側にあるナラ枯れ木は落枝が始まった。その先、工事中断中のためにカラーコーンが置かれているあたり、ワイヤネットが張られた山側からせりだしている大木が今年(2022年)、茶髪になった=写真上1。

渓谷でも最も道が狭い竹ノ渡戸地内だ。空中に電線と電話線が架かる。しかも、樹幹はほぼ道路の真上にきている。

近い将来、間違いなく落枝・倒木が起きる。下を通る車だけでなく、渓谷に点在する小集落のライフラインが断たれる心配がある。

枯れ枝が折れる程度なら個人でも対応が可能だが、幹が折れて道をふさぐようになると、これはもう手に負えない。

隠居のある牛小川の住民もやはり同じ思いでいた。ある日、家を訪ねると、竹ノ渡戸のナラ枯れ木の話になった。「陳情しようと思っている」という。

それから1カ月余りたった日曜日(12月25日)、竹ノ渡戸を通ると、ナラ枯れ木が伐採されていた=写真上2。ひとまず頭上の不安は解消された。

隠居からの帰り、やはりロックシェッドの近くにある別のナラ枯れ木を見ると、幹にキノコがびっしり生えていた。こちらも腐朽がかなり進んでいるようだ。

0 件のコメント: