いわき地域学會の第372回市民講座が土曜日(12月17日)、いわき市文化センターで開かれた。地理学の大谷明幹事が「高久の地誌と、そこに住む人々の暮らしの変化」と題して話した。
当初は大谷さんら2人が「文化財を活かした地域づくりのために~『高久の歩き方』の制作をとおして~」という演題で話す予定だった。
たまたまよんどころない事情から、このテーマは1カ月ずらすことになり、大谷さんが受け持った講話の部分をより深く、広く組み立て直して話してもらった。
演題は変更されたが、結果的には「文化財を――」の「前編」とでもいうべきものになった。年があらたまった1月下旬に「後編」の講座が開かれる。
いわき市は広域のため、都市部と縁辺部とではライフスタイルや行動様式が異なる。車への依存度も高い。
そうした地域の変容を探り、いわきの都市機能や地域的特性を考えようと、大谷さんは、先年、高久の一部である鶴ケ井地区で訪問調査を実施した。
その結果に基づいて、自動車、認知症、買い物、服、病院、友人、天気、スマホ、パソコン、軍事費、お金、読書、保険、居酒屋、暖房、仕事、家事といったキーワードを抽出した=写真。
鶴ケ井は義父の生まれ育った土地。カミサンの祖父母の地でもある。海に近い滑津川右岸域を、南から北へとU字型に丘の尾根が延びる。その間を埋める田んぼのどん詰まりに義父の生まれた家がある。「イリの本家」と言われている。漢字では「恵里の本家」。「恵里」が何を意味するのかはわからない。
この40年の間に何度か訪れた。本家の近くに親戚が2軒ある。名前に「長」とか「重」とか「忠」とかが付く人が多い。いつも誰が誰だかわからなくなる。
本家の裏山は神谷作(かみやさく)というところ。国の重文に指定されている埴輪男子胡坐(こざ)像などが出土した「神谷作古墳群」がある。義父の長兄は考古マニアだった。それで自分の墓を円墳にした。本家の墓の一角にある。
そんなかかわりがある土地柄なので、興味を持って大谷さんの話を聞いた。今春発行された『まほろばの里 高久の歩き方』に掲載された大谷さんのコラムと重なるので、そちらから引用する。
「車は持っているが運転できなくなるのが心配」「買い物は主に平地区、ニュータウンか鹿島街道沿線」「野菜作りが趣味で、直売所に卸している」「情報機器は持っているが使いこなしてはいない」……。
「各種情報は新聞で入手する」というくだりに強く引かれた。それだけではない、新聞入れに新聞がたまっていると、安否を確かめる。
こうした隣近所とのつながり、仲間とのネットワークがあるからこそ、独り暮らしになっても寂しくはない――そんな思いでいることがわかった。
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