2022年12月18日日曜日

新年の手帳

                                 
 生涯学習を目的にしたシルバー世代のサークルがある。私もシルバーだが、もしかしたら私よりは「お姉さん」が多いかもしれない。

 1年に1回、おしゃべりを頼まれるようになった。今年(2022年)は、いわきに本社のある(あった)地域新聞の歴史をテーマにした。

 いわき地域学會の市民講座だと、A3のコピー用紙で10枚前後の資料をつくる。去年、その要領で資料をつくったら、終わって要望が出た。「話に集中したいので、資料はなくてもいい」

 いろいろ悩んだ末、自分の資料はいつもの通り用意しながら、受講する人にはそれを要約したA3資料1枚だけを配った。

 明治初期、いわきで最初に発行された冊子タイプの「磐前新聞」は、コピーを手に持って説明した。休憩時間に「ぜひ見たい」というので、回覧した。

 磐前新聞は磐前県庁の広報紙だが、商業新聞が書くような記事も載っている。「髪の毛の真っ白な赤ん坊が生まれた」「三本足のひよこが生まれた」「抜刀して押し入った強盗に斬刑」……。こうしたトピックスに興味を持ったのだろう。

 おしゃべりが終わると、代表から「来年もいいですか」と言われる。「ええ、まあ」。去年もそうだった。

 去年はそれから少したって「12月16日にお願いします」、さらに追いかけるように「テーマは何ですか」と聞かれたので、「いわきの新聞の歴史」と即答したのだった。

 年末には翌年のスケジュールを決めてしまうのだという。今年も私がおしゃべりしたあと、役員が集まってスケジュールを詰めたらしい。夕方までに電話が2回かかってきて、「来年は12月1日」、「テーマは」というので「草野心平の話」にした。

 まだ来年の手帳を買っていなかった。新しい月替わりのカレンダーも壁にはかけていない。急いで街へ出かけて買って来た。

 さっそく、1年後のおしゃべりの日時とテーマを書き込む。メモしておけば、11カ月間は忘れていても問題はない。

 去年もそうして手帳に書き込み、今年の11月になって師走の予定を確かめ、準備を始めたのだった。

 師走も、もう後半。来年の予定がポツリ、ポツリと入ってくる。手帳には、最初にその年と翌年のカレンダーが印刷されている。翌年のカレンダーに書き込みを入れておくのだが、それも限界がある。新しい手帳にメモしてやっと落ち着く、ということを繰り返している。

 手帳を買いに行くといつも思うのだが、書店には実に多種多様な手帳が並ぶ。目当ては、表紙の角2カ所が金属で補強されている手帳だ。毎年、同じタイプのものを使っているので、今回もそれにした=写真。

 その日の晩、テレビが「手帳を持つ派」と「持たない派」の特集をやっていた。持たない派はスマホのカレンダーを利用しているという。

スマホは使っていても、電話とメールだけの人間には、アナログな手帳は欠かせない。これはたぶん死ぬまで変わらない。そして、1年後の予定を書き込みながら、とりあえずそこまでは生きていないと――なんて考えるのだった。

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