フィリピン出身のエド君が、チョコレートの詰め合わせを持ってきた=写真。Xマスプレゼントだと言う。
カミサンがエド君と知り合ったのは、大型連休が始まって間もない日の宵だった。にわか雨になって、わが家(米屋)に彼が飛び込んできた。「傘、ありませんか」。だれかが置いていった「コンビニ傘」がある。そのなかの1本をカミサンが進呈した。
カミサンがいろいろ聞いたらしい。名前はエド、32歳。歩いて十数分のところにあるラーメン屋で働いている。店の近くにアパートがある。歩いてスーパーのマルトへ買い物に来た帰りだった。
それから1週間後、エド君が袋入りのドライマンゴーを持ってきた。さらに8月下旬、大阪で働いている彼女を連れてやって来た。
エド君は4月からいわきで、彼女は5月から大阪で働いている。マニラ首都圏の南にエド君の家が、北に彼女の家がある。「勿来と仙台くらい離れている」という。
彼女は大阪で介護の仕事をしている。第一印象は日本人、そう思うほど顔立ちが日本人によく似ている。大阪土産の「大阪さくさくワッフル」をもらった。
そして、今度はXマスプレゼントだ。ちょっと前までは、孫が欲しいものを、孫と一緒に買いに行ったものだった。それが、プレゼントを受ける側になった。
ここからは、そのチョコレートを食べながらの感想――。今年(2022年)のいわき地球市民フェスティバル(外国にルーツを持つ市民の日本語スピーチコンテスト)が勤労感謝の日の11月23日、いわきPITで開かれた。審査員の一人としてフェスティバルに参加した。
一般の部で大賞を受賞したのはベトナム出身の技能実習生で、いわきを生活と労働の場として選んだこと、駅のホームで財布を置き忘れたら、高校生が駅員に届けてくれたことなどを話した。
「選択肢があれば、ベストを選ぶこと。なければ、ベストを尽くすこと。人はどこで生まれるかは選べないが、どのように生きるかは選べる」という冒頭の言葉が印象に残った。
ロシアのウクライナ侵攻以来、世界の政治・経済が激変し、日本では円安と物価高が進んだ。
私らがそうであるように、いやそれ以上かもしれないが、日本は「安い国」になってしまった。
日本人自体、海外に職を得る、あるいは出稼ぎに行く。となれば、技術実習生も日本で働く経済的な意味合いが薄れているのではないか。母国へ帰るか、違う国へ行くか、そんな悩みを抱えている人間が増えているのではないかと、あらぬ想像をしてしまう。
それはともかく、先日もXマスプレゼントと似たような経験をした。カミサンの誕生日の晩、上の孫から電話がかかってきた。私はすっかり忘れていたが、カミサンの喜ぶ声から察しがついた。
「孫に一本とられた!」。ケーキを、言葉をプレゼントしてもらっても不思議ではない年齢になったことを実感した。
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