2022年12月16日金曜日

住宅地のキノコ

                      

  わが家の近くに故義伯父の家がある。わが家から洗濯機が消えたので、カミサンがちょくちょく出かけては洗濯機を回す。

 12月14日にも洗濯物を持って出かけた。ついでに、庭の手入れをしたらしい。帰って来るなり、「ケヤキの切り株にキノコが出ていた」という。

スーパーのレジで精算するとき、食品などを極薄のポリ袋に入れてくれる。その袋にキノコが20個近く入っていた。

傘は白っぽい。柄は? 黒みがかっている。冬に発生するキノコといえば……。エノキタケがある。それに似る。

いちおう図鑑に当たる。ひだは白色から淡いクリーム色、黒っぽい柄は上部で色が淡くなる。晩秋から春、カキやエノキ、コナラ、ヤナギなど種々の広葉樹の枯れ木や切り株に発生する。ナメコ同様、日本人好みのキノコ――とあった。

エノキタケは、平の里山で採り、渓谷の隠居の敷地のはずれに積み上げた剪定枝から採った。今年(2022年)も剪定枝から発生したが、すでに老化していた。

いつもそうだが、採ったキノコは落ち葉などを取り除くために水に浸す。それからごみを取り、水を切る=写真。傘にぬめりがあり、茶色みが増した。いよいよエノキタケだと確信する。

昔は旧平市の近郊農村だったとはいえ、旧道沿いに戸建て住宅や集合住宅が密集するベッドタウンだ。キノコが生えるような庭はまずない。

そう思っていたが、キノコの不思議を知るほどに「胞子は世界を飛び交っている」という思いが強くなってきた。

冬だろうが、夏だろうが、キノコの胞子は空を旅している。たまたま着地したところが「適所」だったら、そのまま活着して、次の世代へと命がリレーされる。

キノコは木を腐らせ、倒木や枯れ木を分解して土に返すというイメージだけでは収まらない。植物と共生する菌根菌がある。

ある本にこうある。菌根菌は「陸上植物の約八割の植物種と共生関係を結んでいる。菌と植物の共生である菌根が地球の緑を支えていると言えるだろう」

春に地面から現れるアミガサタケがある。夏井川渓谷の隠居の庭では、シダレザクラと共生しているようだ。

そのアミガサタケが一度だけ、平地のわが家の庭に出現したことがある。庭にはカキその他がある。どの木と共生関係を結んだのかはわからない。しかも、発生は一度きりだった。

それ以上に驚いたのが、庭のプラムの木の幹にいつの間にか、サルノコシカケの仲間(タコウキン=多孔菌科)の硬いキノコが発生したことだ。

幹は1メートルほどのところで二股になっている。片方がやられた。こちらはあとで後輩に切ってもらった。

胞子が入り込んで形成された菌糸のネットワークは、もう一方の幹にも侵入しているかもしれない。やはり、共生もあれば分解もあるのだ。

せっかくの食材だが、なぜか食べる気が起きない。小さすぎる。というわけで、今回は観察し、写真を撮るだけにとどめた。

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