2019年5月11日土曜日

いわきキノコ同好会の会報第24号

 いわきキノコ同好会(冨田武子会長)の会報第24号が届いた。私は、去年(2018年)秋、いわき市小川町の山中で採取したアカイカタケについて書いた=写真。ほかに、冨田会長らがアカイカタケに言及している。
熱帯のアカイカタケが福島県で発見された“衝撃”を、会長らの文章でおさらいしてみる。

「昨年の一番のニュースは、前年のホンセイヨウショウロの初確認に続いてアカイカタケの初確認でした。2年続きでビッグニュースに沸きましたので、今年も“3度目”を期待したいものです」(発刊に寄せて・冨田会長)

 福島きのこの会会長でもある阿部武さん(石川町)は、「スッポンタケ目のきのこ」について書いた。「平成30年秋、小川町で行われた同好会の採集会に参加し、会員によるアカイカタケの発見に接し、改めて県内でのスッポンタケ目の発生状況についてまとめを行った」

 そのまとめから――。スッポンタケ目のキノコには、白いレースのドレスをまとったようなキヌガサタケ、目の粗い竹かごのようなカゴタケ、地面から3本の指を出したようなサンコタケなどがある。いずれも独特のかたちをしている。アカイカタケは「極めて珍しい種」「南方系のきのこ」で、「今回のいわき市での発見は、国内14番目」らしい。

「普通の食用キノコの発生時期と異なり、7~10月の発生が多い。発見例を見ると、公園や里山の林道わきなど多くの人が通る場所でも発生している」

 さらに、これらのキノコの生存戦略の一つとして、「雨に打たれてグレバが溶けて地上に広がれば生育域が広がる。また、胞子を含む腐敗臭のグレバを舐(な)めた鳥はさらに遠くまで胞子を運ぶことになる。キヌガサタケの菌網やイカタケの放射状の托も虫の活動を助けているらしい。赤やオレンジ色など目立つ色彩も、昆虫や鳥の目印になるようだ」

 グレバは、アカイカタケの場合は平たい頂部で凝固しかかった血液、あるいはゼリーのような層のことらしい。かぐと腐臭がする。これが、胞子の運搬役のハエを呼ぶ。托は、放射状とあるから、グレバの外側からイソギンチャクの触手のようにのびているそれか。

 再び、冨田会長。「今年出会ったキノコ」のなかで、「このキノコを初めて見た時、図鑑中でしか見たことがなかったので名前が出てこなかった。福島県初確認である」と書いている。

 採集会では、「食欲」をわきにおいて、どんなキノコがいわきに生えているのかを調べる。何年かぶりで参加したら、超珍菌も超珍菌、熱帯のキノコに遭遇した。原発事故の影響で野生キノコには摂取・出荷の制限がかけられている。阿部さんは、「食べる目的から少し距離を置いて、珍菌・稀菌を探しに森に行こう」と呼びかけている。だれでも珍菌・稀菌の発見者になれる。

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