2019年5月23日木曜日

山の花と川の花

 日曜日(5月19日)にいわき市小川町の市立草野心平記念文学館を訪ねた。駐車場と地続きの山側にホオノキがある。大きな花をいっぱいつけていた=写真下。ホオノキは高木だから、下から花は見えない。が、ここでは正面から、普通のカメラで難なく花を撮影することができる。
 毎週通っている夏井川渓谷はすっかり緑のグラデーションに変わった。そこへ少し白の点々が見える。岸辺の白はミズキの花、山の中腹のはホオノキの花。普通のカメラではしかし、花のアップが難しい。

 渓谷の入り口、谷側の道路沿いに黄色い花が咲いていた=写真右。ジャケツイバラだ。ジャケツイバラは日当たりのよい山野や河原に生えるマメ科のつる性落葉低木で、茎にも葉にもトゲがある。総状花序に花をつけたときの、立ち上がったような黄色い花のかたまりが美しい。こちらは、車からでもパチリとやれる。

 若いときの「山学校」の先生だった湯澤陽一博士が、「文化福島」(平成8年9月号)に書いている。ジャケツイバラは、福島県が分布のほぼ北限。分布域が狭く、個体数も少ない。「いわき市ではなぜか小川沿いに多く、渓流沿いに歩いていると時に上流から散った黄色の花がながれてくるのに出合う」

 もっと下流の平地に来ると、岸辺にニセアカシアが目立つようになる。中神谷の河川敷でもいつの間にかニセアカシアが自生し、大木になった。日曜日には上流も下流も、白い花が満開だった=写真下。

おととい(5月21日)の暴風雨の影響はどうだったか。きのう、中神谷のニセアカシアを見たら、少し花が散っていた。

 小学6年生のとき、西田佐知子の「アカシアの雨がやむとき」が大ヒットした。若い人には想像もつかないことだが、今、80歳前後の先輩たちは「安保反対」デモの敗北感を、♪アカシアの雨にうたれて/このまま死んでしまいたい……という歌に重ね合わせた、とのエピソードが残っている。そのころも、雨に打たれて散ったのは、青年の心ではなくアカシアの花の方だったろう。

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