2019年5月18日土曜日

ミョウガタケを汁の実に

 5月も中旬になって、庭のミョウガの若芽が15センチほどに伸びてきた=写真。初夏の土の味、ミョウガタケだ。まずは刻んで汁の実にする。豆腐汁がいい。
 というのは――。30年以上前、5月の連休に川内村のある家で郷土料理をごちそうになったことがある。そのときのメニューの記録から。

葉ワサビの粕漬け、ウドのじゅうねん(エゴマ)あえ、シドケ(モミジガサ)のおひたし、タラの芽のてんぷら、フキとタケノコの油いため。仕上げにミョウガタケと豆腐の味噌汁。囲炉裏には赤々と炭火がおこっていた。炭火の周りには串に刺されたイワナとヤマメ、炭火の上の網わたしには生シイタケ。

 ミョガタケは、味があるわけではない。香りと歯ざわりを味わう。初夏限定の食材だ。夏になって、丈が30センチ以上になると、もう硬くて食べられない。原発事故後は、場所によっては上記のような山菜の摂取が制限されている。

 豆腐汁にちらすだけでは、どうやら芸がない。震災前のブログを読むと、こんなこともしていた。糠漬けとは別の、カブやキュウリの一夜漬けに、風味用として庭のサンショウの木の芽とミョウガタケをみじんにして加え、だし昆布も入れた。即席漬けとはいえ、風味・旨みを出すにはそれもあり、だ。
 
 この半月、座業に追われて缶詰め状態だった。やっと解放された。その意味では、「私の5月」は今、始まったばかり。草野心平の詩「五月」が胸にしみる。

「すこし落着いてくれよ五月。/ぼうっと人がたたずむように少し休んでくれよ五月。(略)//五月は樹木や花たちの溢れるとき。/小鳥たちの恋愛のとき。/雨とうっそうの夏になるまえのひととき五月よ。/落着き休み。/まんべんなく黒子(ほくろ)も足裏も見せてくれよ五月。」。けさはサンショウの新芽を摘む。

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