台風19号による水害から1年2カ月――。小川町の平地から下流の夏井川では、河川敷にたまった土砂の除去作業が続く。
わが生活圏でいうと、平市街と旧神谷村を結ぶ鎌田・平神(へいしん)橋の左岸上下流で、重機やダンプカーが忙しく動き回っている=写真上(11月20日撮影)。先日通ったら、川中島の土砂の除去が行われていた=写真下(12月3日撮影)。
32年前の昭和63(1988)年6月、夏井川が建設省(現・国交省)の「ふるさとの川」モデル河川に指定された。①やすらぎとふれあいの水辺づくり②まちの顔としての水辺の整備③歴史と伝統の保全と継承――などが目的だった。
8月20日に流灯花火大会が行われる左岸・鎌田では川幅が広げられ、親水のための広場や階段が設けられた。河口部にはサイクリング公園(右岸)、沢帯(ざわみき)公園(左岸)ができた。鎌田~河口までのサイクリングロードも両岸に整備された。
私は自称「夏井川ウオッチャー」。いわき民報時代はコラムで、平成20(2008)年2月以降はブログで、たびたび夏井川について触れている。「ふるさとの川」事業のあと、同年から同22年にかけて、右岸・山崎、左岸・塩~中神谷地内で同川の拡幅・土砂除去、護岸工事が行われた。その様子も見てきた。
工事完了後は見た目もすっきりした。山崎の河川敷はサッカーや野球ができるくらいに広くなった。しかし、川もまた生き物だ。大水のたびに河川敷に砂が堆積し、浅瀬には中洲ができた。いつのまにか河川敷に草が生え、岸辺にはヤナギが生えて、また川幅が狭くなった。
堆積する土砂の量がハンパではない。鎌田では中洲が肥大し、草が生え、ヤナギが生えて川中島になった。アンツーカーの散策路が設けられた広場もすっかり土砂に埋まった。
毎年、夏井川水系河川改良促進期成同盟会の総会が開かれる。ヤナギ繁茂の不安を訴える声が出たことがある。要望から1カ月もたたないある日、鎌田の川中島のヤナギがきれいに刈り払われた。流灯花火大会の前だったので、地元区長としては「やれやれ」という思いだったろう。
それとは別に、新川合流部と下流の調練場(中神谷)ではときどき、重機が入って土砂除去が行われる。
去年(2019年)の台風19号では、調練場付近のサイクリングロードは流れ着いた土砂で砂場のようになった。厚いところでは1メートル近く堆積した。
以前、夏井川ウオッチングを踏まえて、「20~30年後には再度、伐採・土砂除去工事が必要になるだろう。流域住民の生命と財産を守るためには欠かせない工事だが、川は人間の思惑を超えて悠々と流れている」と書いた。
生活者の実感としていえば、どうもその通りになりそうだ。鎌田では「ふるさとの川」モデル事業で設けられた赤いアンツーカーの散策路が見通せるまで、つまりざっと30年前の状態になるよう土砂を除去しているわけだ。
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