2020年12月3日木曜日

「いこいの学校 長居小」へ

                    
   日曜日に夏井川渓谷の隠居へ行くと、ときどき山越えのマイクロツーリズム(山里巡り)を楽しむ。コースは、市外なら渓谷~小野町~平田村、市内なら渓谷~宇根尻(川前)~差塩(さいそ)~下市萱だ。いずれも国道49号を利用して帰って来る。

このごろ、カミサンの口から「長居小」という言葉がよく出る。友達が行って来たらしい。「長居小へ寄ろう」「あとで」。「長居小へ行きたい」「……」。先の日曜日(11月29日)は、最初から目的地を「長居小」に絞って攻めてきた。

過疎・高齢化が進むいわきの山間部・三和地区では平成27(2015)年春、小中学校の再編が行われ、5小学校が三和小(旧沢渡小)1校に、4中学校が三和中1校に統合された。

「長居小」は廃校になった一つ、旧永井小だ。廃校施設利活用事業にNPO法人のMOCCS(モックス)」が手を挙げ、去年(2019年)11月、「いこいの学校 長居小」としてオープンした。長居小は「ながいしよう」と読ませるようだ。長居していいですよ、ではそうするか――高齢者向けの交流の場として再生したところがミソらしい。

 渓谷からは対岸の山陰にある。まずは場所の確認だ。三和の永井地区といっても広い。具体的な位置がわからない。スマホに切り替えてから、渓谷でも簡単に検索できるようになった。

川前から差塩に駆け上がったあと、県道の十字路をまっすぐ進めば下市萱の国道49号に出る。直売所の「ふれあい市場」まではすぐだ。ときどきこのルートで買い物をする。十字路を左折すると永井。そして、渡戸で49号に出る。上永井の旧「農家そば屋」を過ぎると寺がある。長居小はその近く、と頭に入れる。

実際に訪ねると、県道から学校は見えなかった。寺を過ぎて道路を左折すると、左手にそれらしい建物があったが、進入路がない。どんどん山の方へ入っていく。途中でUターンし、たまたま県道を歩いていたおじいさんに聞くと、「そこだ」と建物の角の“通学路”を指さす。家の奥に広場(旧校庭)と建物があった=写真。

49号側からだけでなく、差塩側からも入り口を示す看板ないしのぼり旗があるといいのに――そう思いながら車を止めると、「校舎」の窓に来訪を歓迎する紙が張ってあった。「大変な時ですが/来てくれて/ありがとう」。玄関の戸を開けて中に入った瞬間、スタッフから声がかかる。「いらっしゃいませ」。こちらがたじろぐほどの歓待ぶりだ。

お休み所で地元の女性陣がおしゃべりをしていた。「交流の場」というのがこれだろう。廊下を歩いていた一人から声がかかった。「どっから」「平から、川前経由で」(こういうやりとりが大事なのだ、きっと)

今は土・日曜日だけのオープンだが、新潟港から仕入れた魚介類と平潟港の水産加工品も売る。これが地元のお年寄りに喜ばれているそうだ。週末だけの出張スーパーだ。購買室のほかに、喫茶室と健康室がある。昼食代わりにケーキとコーヒーを頼み、それを喫茶室で味わった。

カミサンはそれから探検を兼ねて買い物をした。あとで食卓に出てきたものを見て驚いた。「ふきのとうの佃煮」(昭和村)、「ちりめんじゃこの佃煮」(北茨城)、「横須賀海軍カレーコロッケ」、干し柿の中に白あんを詰めた「柿まんじゅう」(遠野・塩屋菓子店)。珍品がそろっている。

三和産の白菜が1玉あった。私はそれを買った。大きさは中くらいだが、見た目よりは重い。お福分けで届いた1玉と合わせて、おととい(12月1日)朝、八つ割りにして干し、夕方、漬け込んだ。

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