土曜日(12月5日)、いわきの平地は午後から雨になった。ときどきフェイスブックをのぞいたら、阿武隈の山里は、昼前から白いものが舞ったらしい。中通りの郡山市と浜通りの双葉郡を結ぶ国道288号の峠道、田村市都路町や、いわき市三和町の差塩(さいそ)では雪、という情報がアップされていた。
ツイッターやフェイスブックでは、リアルタイムでピンポイントの天気がわかる。その方面へ行く予定があるときは、行くのをよすか、ルートを変更するか、考える材料にする。
差塩は標高500メートル前後。隠居のある夏井川渓谷は、それより300メートルは低い。雪にはならなかったろうとは思いながらも、この目で確かめたい、「田村のネギ」も収穫しなくては――いつものように、きのうの日曜日、隠居へ出かけた。
路面は濡れてはいたが、どこにも白いものはなかった。カエデは、渓谷の下流側ではまだ赤く燃えていた。隠居に近づくにつれて赤が少なくなる。
行楽客は? いないどころか、江田駅前のキャンプ場には車がびっしり止まっていた。驚いた。アウトドアを楽しむにはいい天気になった。が、今は師走。キャンプ場の冬のにぎわいを初めて見た。
快晴、無風。いい気分で隠居に着いた瞬間……。下の庭がすごいことになっている。上の庭も、下の庭も後輩がきれいに草を刈ってくれた。刈り込まれたその草地の半分以上がほじくり返されて、黒い土をさらしていた=写真上1。
石が埋まっていて、後輩が自動草刈り機を動かすと、刃が当たって壊れることがある。そのため、カミサンはこのごろ、下の庭で石拾いを続けている。その石も土と一緒にほじくり返されていっぱい露出していた。
“犯人”は決まっている。上の庭も下の庭も、分校の校庭と同じくらいに広い。それをほじくり返すパワーを持っているのは、イノシシしかいない。それも、1頭ではないだろう。グループでやって来て、一晩でほじくり返したのだ。狙いはミミズ。
これが畑だったら、怒髪が天を衝(つ)くところだが、放置して置いたらヨシが生える。それがイヤで草を刈り続けている。ヨシの地下茎を何とかしないと、と思っていても、スコップではなかなか切断できない。それをイノシシはいとも簡単にやってくれた。石もひっくり返してくれた。ということになれば、大きな声ではいえないが「イノシシ様さま」だ。
ただし、上の庭にはネギが植えてある。さいわいというべきか、イノシシはネギには口をつけない。が、畑のそばの土手を少しほじくり返していた。
ちょうど1年前も現れた。隣の電力社宅跡地の土手が激しく掘り返されていた。同じころ、わが隠居の上の庭も2カ所、イノシシに荒らされた。シダレザクラの樹下は、草やコケがひっくり返されて土がむきだしになっていた。
この樹下には4月下旬、サクラと共生するキノコのアミガサタケが発生する。イノシシに掘り返された影響なのか。今年(2020年)はほんのわずかしか採取できなかった。
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