2020年12月31日木曜日

「レコ大」で歌の1年を知る

        
 晩酌をしながら、TBSの「日本レコード大賞」の生中継を見た。最優秀新人賞は「恵比寿」の真田ナオキ、大賞は「炎(ほむら)」のLISAだった。「恵比寿」は吉幾三作詞・作曲の演歌、「炎」はアニメ映画「劇場版『鬼滅(きめつ)の刃(やいば)』無限列車編」の主題歌だという。

どちらも初めて聞いた。テレビの音楽番組はほとんど見ない。車でも古いCDをかけている。歌謡曲にはすっかり縁遠くなった。ゆうべ(12月30日)のレコ大で、ようやく今年(2020年)1年のハヤリ歌を知った次第だ。

先日、下の孫(小5)が来て、カミサンが相手をした。平積みにしてある本のタイトルを見て「香水だ」と反応し、せっけんの香りに興味を示したという。フェアトレードの一環でカミサンがパレスチナのオリーブせっけんを扱っている。そのにおいをかいで「いい香り」とかなんとかいっていたらしい。しかし、なんで香水や香りに興味を?

新聞のテレビ欄を見て、カミサンが「これか」とつぶやいた。レコ大の番組紹介文に「瑛人の香水」とあった。新人賞のなかにその瑛人が出てきて、「香水」を歌った=写真。歌詞に「ドルチェ&ガッバーナの香水」とある。この歌が子どもたちの間ではやっているのかどうか。

 11歳ともなれば胸の内もそれなりに複雑になる。60年前、同じ年ごろだった人間は、女の子を意識して、ぬか喜びをしたり、しょげたりしたものだった。そういうところまで育ってきたのだろうか。いや、待て。

 ドルチェ&ガッバーナは、イタリアを代表する高級ファッションブランドだそうだ。ミラノに本拠があるという。サッカーとの関係を検索したら、ACミランのユニホームをデザインしていた。サッカー小僧はユニホームからドルチェ&ガッバーナを知り、同じブランドの香水へと関心がふくらんでいったのかもしれない。瑛人の「香水」を知っているかどうか、年始に来たら聞いてみよう。

それはともかく、今年は後半も後半、10月以降に作曲家の筒美京平、中村泰士、作詞家のなかにし礼さんが相次いで亡くなった。番組でも追悼していたが、私ら団塊の世代にとっては青春を彩る歌の世界の中心にいた人たちだ。

筒美作曲・いしだあゆみ歌の「ブルー・ライト・ヨコハマ」は20歳、中村作曲・ちあきなおみ歌の「喝采(かっさい)」は24歳、なかにし作詞・北原ミレイ歌の「石狩挽歌」は27歳のときにヒットした。なかでも「喝采」は昭和47(1972)年のレコード大賞受賞曲だ。

そのころ、映画「バニシング・ポイント」を見た。以来、生の絶頂期にこそ死が宿り、やがてはバニシング・ポイント(消滅点)へと収斂(しゅうれん)していく――そんな思いで年を重ねてきた。この人たちもついにバニシング・ポイントをくぐりぬけて逝ってしまったか、という思いが強い。

そして、大みそかの今夜は紅白歌合戦。レコ大もそうだったが、無観客の大ホールで歌手たちが熱唱する。朝ドラ「エール」の主題歌をうたったGReeeeNは影だけの出演なのかどうか、仕掛けも含めてぜひ見ておきたい。

0 件のコメント: