2020年12月15日火曜日

小名浜へ

                    
 師走前半のどちらかの日曜日、カミサンの実家で歳暮用のもちつきをする。一日がかりの大仕事だ。電気もちつき器を使うが、もち米はドラム缶を利用した“まき釜”に蒸籠(せいろ)を重ねて蒸す。毎年この火の番を担当する。「釜じい」だ。

それが、今年(2020年)は当主の義弟が腕を痛め、友人に手伝ってもらうことになった。人手は足りたので、火の番をしなくてもよくなった。

 用がなければ夏井川渓谷の隠居へ行く――のだが、カミサンが、前に約束していた話を思い出した。小名浜に住むいわき地域学會の先輩の家から蒸籠を譲り受けることになっている。おととい(12月13日)の日曜日、海岸道路を利用して小名浜へ出かけた。

 車のトランクに蒸籠を積んだらとんぼ返り、のはずが――。先輩の家を出たとたん、「ら・ら・ミュウへ行って。着物フェアをやってるから」。なるほど、そうきたか。「表の目的」は蒸籠だが、「裏の目的」は着物だった。

 先輩の家から小名浜港のいわき市観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」までは、車で5分ほどだ。突然の“指示”だが、小名浜に来てしまった以上はしようがない。

 久しぶりに1号ふ頭の「ら・ら・ミュウ」を訪ねた。1階南側休憩所(旧遊覧船発着ロビー)で、NPO法人のザ・ピープルが土・日曜日の2日間、「いにしえ着物フェア」を開いた=写真上1。古着リサイクル活動のなかで回収した着物のチャリティーバザーで、着物や帯を300円以上、端切れを100円で売っていた。結構なにぎわいだった。

 品定めに入ったカミサンのあとをついて回るのも能がない。休憩所内をぶらついて時間をつぶした。

 来年(2021年)春、新しく観光遊覧船が就航する。壁に観光船の愛称を募集するポスターが張ってあった。「災害時には緊急放送に従いイオンモールいわき小名浜へ避難して下さい」という表示もあった(3・11には港全体が津波被害に遭った)。

 休憩所の外へ出ると、真向かいの2号ふ頭にはアクアマリンふくしま、その左手奥には3号ふ頭から人工島に架かる「小名浜マリンブリッジ」、右手には三角倉庫を再利用した小名浜美食ホテル、その後ろに“浜イオン”がでんと控えている=写真上2。

 大型観光バスは見かけなかったが、私たちが着いたころにはマイカーが次々にやって来て、駐車場が込みはじめていた。ちょうど昼飯時だ。レストランの窓際は、港の景色を見ながら食事をする人でいっぱいだった。

 さて、その日の夕方――。家でひと休みしたあと、蒸籠を届けながら、カミサンの実家へもちを受け取りに行った。蒸籠は“まき釜”にうまくはまれば、来年以降、もちづくりに再利用される。歳暮のもちは、私たちが届けることになっている家が何軒かある。そのうち3カ所だけ、知人宅に配りながら帰宅した。いよいよ年の暮れである。

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