2020年12月27日日曜日

台風19号 53 ヤナギ伐採

                     
 小川~平の夏井川で進められている河川敷の土砂除去工事が、いよいよ下流の中神谷(左岸)でも行われるようだ。

 クリスマスイブの日中、重機が河川敷に入って除草をしていた。そばのサイクリングロードには「除草中」の看板が立った。翌日には岸辺のヤナギの伐採も始まった。きのう(12月26日)はさらに重機が何台も投入されて、除草と伐採が行われた=写真上1。浅瀬では定期的に重機とダンプカーが入って川砂を採取している。それも並行して進められている。

字名からいうと、調練場~天神河原の河川敷だ。川がS字状に蛇行するところで、サッカーコートが複数とれるほど、土砂が広く厚く堆積している。現状は河原(砂地)とヨシ原、草原といったところだろうか。

藩政時代、磐城平藩を治めていた内藤侯が延岡へ移ったあと、中神谷村は笠間藩に組み入れられた。この分領の庶務をとるため、延享4(1747)年、浜街道沿いの苅萱に神谷陣屋が置かれた。

陣屋の裏手に藩士の兵式訓練を行うための河川敷が広がっていた。それが調練場だ。ところが、夏井川に近いため、ときどき水害に見舞われた。そこで文政6年(1823)、600メートルほど離れた小川江筋沿いの山際に移転し、明治維新を迎える。跡地は平六小として利用されている。

調練場には大水のたびに土砂が堆積する。去年(2019年)の台風19号では、堤防寄りのサイクリングロードが、部分的にだが1メートル前後、土砂で埋まった。広大なヨシ原と草原にはニセアカシアやイタチハギなどが生えている。大水のたびに上流から種が流れてきて活着したのだろう。

上流の鎌田では土砂除去工事が終わって重機が姿を消した。32年前の昭和63(1988)年6月、夏井川が建設省(現・国交省)の「ふるさとの川」モデル河川に指定された。8月20日に流灯花火大会が行われる左岸・鎌田では川幅が広げられ、親水のための広場や階段が設けられた。通路以外は堆積した土砂で盛り上がっていたのが、改修当時の姿に戻った。

ということは、中神谷地区でもサイクリングロードと同じレベルまで土砂を除去することになるのだろう。

きのうは右岸の山崎側からも工事の様子を見た。岸辺でも重機が除草・伐採作業に取り組んでいた=写真上2。

何年か前まで、毎日、首からカメラをぶら下げて夏井川の堤防を散歩した。パソコンに取り込んだ撮影データをチェックしたら、12~10年前に土砂除去・護岸工事などが行われている。わずか10年、「ふるさとの川」から数えると、30年前後で土砂がたっぷり堆積した。

海・空・山・川……。人間が向き合っている自然は恵みと同時に災厄をもたらす。大切なのは、便利な暮らしを享受するだけでなく、自然を畏(おそ)れ、敬う心を持つことではないか。暮らしのなかで川の流れを意識していると、少しはそこに近づけるかもしれない。そう思って、街へ出かけた帰りには必ず堤防を通って夏井川をウオッチングする。

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