2021年5月14日金曜日

新タマネギの甘酢漬け

                      
 ご飯や晩酌のおかずにも主役と脇役がある。主役はやはり豚肉とかカツオの刺し身だ。でも、なぜか脇役に引かれる。

このところ毎日、晩酌に新タマネギの甘酢漬けが出る。たまたま台所に行ったら、カミサンが甘酢漬けをつくっていた。タマネギを半分に割ってスライスする。それを甘酢の容器に入れて、冷蔵庫で一晩寝かせる。翌日の夕方には晩酌のおかずになって出てくる。

私はこれに、阿武隈の山里(いわき市三和町や川内村)でつくられた、食塩と赤ジソだけの色鮮やかな梅干しの果肉をまぶす=写真上1。舌に触れたとたん、クエン酸で頭が覚醒したようにシャキッとする。たとえれば、曇天がいきなり晴天に変わったようなものだ。おかずとしては腹にたまるわけではない。が、クエン酸のはたらきで血流がよくなるような感覚がある。大事な脇役だ。

春を過ぎ、初夏を迎えたこの時期、猫の額のようなわが家の庭にも、ほかの脇役たちが登場する。

 朝、カミサンが突然、「山椒味噌(さんしょみそ)をつくる」という。「つくり方を調べて」。こういうときには、ネットは便利だ。「青葉の山椒味噌」のレシピがあった。簡単にいうと、山椒の青葉を枝からはずす―青葉を刻む―味噌にみりん・砂糖をまぜて、青葉を加えて火を通す。それだけ。

 庭に山椒の幼樹がある。植えた覚えはない。背丈は1メートル弱で、それなりに青葉が茂っている。カミサンがそれを摘んで刻み、手元にある調味料を加えて火を通した。出来上がったのを見ると、少しドロッとしている。味噌と砂糖を加えたらペースト状になった。

冷ややっこに載せると合うかもしれない。晩酌にそれが出た=写真上2。醤油の冷ややっことは違う、新しい味だ。毎日はともかく、たまにはいいかもしれない。残りは今もご飯のおかずにしている。

たまたま山椒味噌をつくった日の午後、疑似孫の母親がやって来た。あとから学校の後輩も来た。カミサンが、それぞれにおみやげとして山椒味噌を進呈した。疑似孫の家では夏でも湯豆腐をつつく。その連想で夕方、山椒味噌を載せた冷ややっこを食べたくなったのだった。

庭にはミョウガタケ=写真上3=も、柿の若葉もある。ミョウガタケは汁の実、柿の若葉はてんぷらにした。

ミョウガタケは10センチほどに伸びたころ、カットして刻み、朝の味噌汁にちらす。独特の香りがたまらない。カブやキュウリの浅漬けにも、風味用に刻んだミョウガタケを加える。だし昆布も入れる。即席漬けながら、風味と旨みがからみあって食が進む。

 去年(2020年)は糠漬けを試した。鉛筆のように細いが、皮が硬いので味がしみるまでには時間がかかる。食べるときにこれを刻むと、緑色の“錠剤”になる。わが家では一番小さな酒のつまみだ。

 いずれも量は要らない。小皿や小鉢に盛られたものだけでいい。自分で摘んだり、漬けたり、あえたりするだけで、季節の彩りがそろう。皿の数は増えるが、カネはかからない。コロナ禍で見つけた楽しみのひとつではある。

0 件のコメント: