2021年5月25日火曜日

車で移動中にも“発見”が

                     
 車で移動中にも"発見"がある。といっても、1週間前にはなかった花が咲いている、田んぼに水が入って苗が植えられた――くらいのことだが。日曜日に夏井川渓谷の隠居へ行く。同じ道を通る。定点ならぬ定線観測だ。

 おととい(5月23日)は渓谷の入り口、JR磐越東線磐城高崎踏切の手前で、ヤマボウシの花に出合った=写真上1。初夏、渓谷が青葉一色になると、県道小野四倉線沿いには点々と白い花が咲く。ウツギが多い。そのなかでヤマボウシの白い花(実は総苞片=そうほうへん)はよく目立つ。

 ヤマボウシは高木だ。普通は見上げても花がよくわからない。ここでは谷から生えていて、こずえが道路と同じ高さになっている。運転している目線でこずえを覆う白い花が見える。花が咲けば必ず写真を撮る。

ほんとうの花は総苞片の中央にある淡黄色の小さなかたまりだ。総苞片は葉が変形したものだという。形も含めて好きな木の花のひとつだ。

 渓谷へ入る前、必ず確かめることがある。小川町・三島地内の夏井川に、けがをして残留したコハクチョウがいる。週末の雨で増水し、いつも休んでいる中洲が水没した。川と並走する道路に車を止めて探すと、上流の右岸そばに避難していた。とりあえず無事でよかった。

 同じ水鳥に留鳥のカルガモがいる。田植えが終わった田んぼによく現れる。ときに早苗の抜き取り、撹拌による活着障害が起きるため、農家からは嫌われる。

そのカルガモが平窪の青田にいた=写真上2。「おい、怒られるぞ」。田植えが終わったばかりの今、早苗の間をカルガモが動き回っていると、つい声をかけたくなる

そして、これは人間の話――。磐越東線江田駅前に「夏井川渓谷キャンプ場」がある。同キャンプ場は、紅葉シーズンが終わり、冬に入ってもマイカーでいっぱいだった。コロナ禍以来の現象だが、これが大型連休に入ると、パタッと消えた。

いわき市が管理する。炊事場、トイレが完備し、テントなら30張ていどは設営できる。駐車場もそれに見合ったスペースがある。

キャンプ場の入り口まで行って、理由がわかった。市は4月24日~5月16日を感染拡大防止一斉行動期間に決め、4月29日から公民館や図書館、美術館、文学館などの公共施設を臨時休館にした。さらに、5月31日までの延長を決めた。それに合わせて同キャンプ場も利用休止にしたのだった=写真上3。

「今年のゴールデンウィークは、旅行や帰省を控え、市内に留まって、自宅でゆっくり楽しみましょう」。新聞に折り込んだチラシで、不要不急の外出・往来自粛を訴えていた。大型連休以来、キャンプ場にも閑古鳥が鳴いているわけだ。

 わが家から渓谷の隠居までは田んぼ道~国道399号兼県道小野四倉線を利用する。田んぼ道は後続車も対向車も少ない。ゆっくり流しながら、大きく視野を取って進む。田んぼにサギやカルガモが、冬にはハクチョウがいる。いい被写体になる。渓谷に入れば、ピンポイントで気になるものをチェックする。キャンプ場の異変はそれでわかった。ヤマボウシも誘うようにして目に飛び込んできた。

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