2021年5月31日月曜日

河川敷の土砂除去続く

        
 わが生活圏を流れる夏井川では、河川敷の土砂除去工事が続いている=写真上1。岸辺のヤナギや竹林も次々に伐採された。

 国道6号の夏井川橋(バイパス終点部)下流でも工事が始まった。左岸にいわき市北部浄化センターがある。右岸は河畔林が続く広い河川敷だ。日がたつにつれて作業が進み、風景が変わっていく。右岸はあらかた伐採がすんで、河川敷の全体が見渡せるようになった。

 おととし(2019年)秋の台風19号で、いわき市内の夏井川流域が大きな被害に遭った。浄化センターのすぐ下流、河川敷を通るサイクリングロードも大変なことになった。

堤防と岸辺の竹林の間に流木が次々とたまり、50メートルほどにわたってごみの山ができた。この「災害ごみ」が片付けられたのは、翌年の7月初旬だった。

北部浄化センターの排水口付近は、大水があるたびに流木その他のごみで河川敷のサイクリングロードが通れなくなる。おととし秋はとてつもない量の流木が残留した。流木をためる「壁」になっていた竹林の伐採も始まった。ここも間もなく見晴らしがよくなることだろう。

 夏井川橋の下流に六十枚橋がある。そちらでもヤナギなどの伐採工事が始まった。橋の直下のサイクリングロード付近は地元で手入れをしているのか、いつ堤防を通ってもきれいになっている。気持ちがいい。サイクリングロードから岸辺の側の木が伐採されて横たわっていた。

川は平野部に入ると大蛇のようにうねる。右岸と左岸に、交互に河川敷が広がる。上流の小川から河口まで、河川敷に根を生やした木々がいったん姿を消す=写真上2。とにかく大水を早く海へ流そうというのが、台風19号の教訓なのだろう。

 わが生活圏ではざっと10年前にも、対岸の木々の伐採と土砂除去が行われた。だから、10年後がどうなるかは想像がつく。ヤナギがあっという間に岸辺を覆う。草も繁茂する。特に、上流からの土砂の供給がすさまじい。台風19号のときには、1メートルも土砂が堆積したところがある。

 河川敷にいろんな木が生えていた。また生えてくる。夏井川橋直下の右岸にはニワウルシの群落があった。ニワウルシは河原に侵入すると短期間のうちに大きな樹林に生長して、洪水時には水の流れを阻害するという。

 最も多いヤナギのほかには、オニグルミ、ニセアカシア、イタチハギ、アカメガシワなど。大水で上流から種が流れついて活着したのだろう。

 草野心平の詩に「故郷の入口」がある。磐越東線のガソリンカーが平駅(現いわき駅)を出発し、赤井駅を過ぎて小川郷駅へと向かう。赤井と小川の境の切り通しが近づく。「切り割だ。/いつもと同じだ。/長い竹藪。/いつもと同じだ。」。この「長い竹藪」も消えるのか。

暮らしの中を流れている川を、その変化を絶えず目に焼きつけておくこと。大水の怖さも含めて――自称「夏井川ウオッチャー」は自分にそう言い聞かせて、街へ行ったときには必ず堤防を通って帰る。

0 件のコメント: