2023年3月13日月曜日

北帰行が始まったようだ

                     
 木曜日(3月9日)の朝、義弟をいつもの病院へ送り届けた帰り、夏井川の堤防を通ると、新川合流点(平・塩)から下流の中神谷まで、散在しているはずのハクチョウの姿がなかった。

 一時は200羽前後が滞留していたのが、3月の声を聞くと次第に数を減らし、2ケタ台の前半になった。

 土曜日も朝、小川町に用事があったので、堤防経由で出かけた。やはり1羽もいなかった。三島(小川町)はさすがにまだかなりの数が残っていた=写真。同じ日の午後、街からの帰りにいつもの堤防を利用した。このときも姿はなかった。

 東日本大震災から12年。土曜日は朝起きると、海の方を向いて合掌した。あの日以来、3月11日がくるとそうする。午後2時46分には、テレビの特番に合わせて黙祷した。

 3・11にはどうしても「あのとき」のことが思い浮かぶ。メディアが伝える情報だけではない。じかに見聞きした話も頭に残っている。

ハクチョウの3・11も忘れられない。彼らもまた、川をさかのぼってきた津波に驚いて飛び立った。5年前(2018年)の3月8日付の拙ブログを再掲する。

 ――庭のジンチョウゲの花が咲き出したと思ったら、夏井川からハクチョウの姿が消えた。わが生活圏内の越冬地、平・塩地内には極寒期の1月中旬、ハクチョウが150羽ほど羽を休めていた。3月7日夕方、堤防を通ったら1羽もいなかった。 

 日が長くなるにつれて数が減っていた。そろそろだなと思ってはいた。冬から一気に初夏がきたような日曜日(3月4日)の暑さには、羽毛をまとっているハクチョウもこたえたろう。そのときには十数羽になっていた。

 ハクチョウがいきなり姿を消したときがある。平成23(2011)年3月11日午後2時46分、東北地方太平洋沖地震が発生する。その数十分後、津波が夏井川をさかのぼってきた。まだ去りかねていたハクチョウたちが波に驚いて一斉に飛び立った。

毎日、ハクチョウにえさをやっていたMさん(故人)から聞いた「ハクチョウたちの3・11」だった。対岸の山寺にいた次男の同級生も、夏井川をさかのぼる津波を目撃している。

 3・11は文字通りの「天変地異」だった。北帰行の時期に変異を察知し、いのちの危険を感じたからこそ、ハクチョウはそのまま飛び去ったのだろう。が、秋にはいつものように飛来して、鳥見人(トリミニスト)を安心させた。

 以来、ハクチョウの北帰行は、この3・11が目安になった。3・11より早い・遅い。そう比較しながら、ハクチョウの姿が消えた日を記録する。

 ただ、最初に現れた日と違って、最後の1羽が飛び去った日を確定するのは難しい。北上中のハクチョウが南からやって来て、一時羽を休めることがある。1回か2回はそんなことを繰り返す。で、個人的にはとにかく最初に姿が消えた日を北帰行の日と定めている――。

 夏井川下流域のわが生活圏だけでいえば、やはり今年(2023年)も3・11前後が姿を消す目安になった。

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