2023年3月15日水曜日

地域の小窓

                     
 新聞休刊日には、世の中の出来事はテレビとネットで確かめる。といっても、それは全国紙と県紙のこと。地域紙は、それとは別に昔から日・祝日を休刊にしている。ぎりぎりの人数で新聞をつくっているので、そうせざるを得ないのだ。

全国紙や県紙の休刊日は月1回で、月曜日がほとんどだ(今年は10月だけ火曜日になる=月曜日が祝日「スポーツの日」のため)。朝刊が休みの日は、いわき関連のニュースは夕刊のいわき民報で知る。

3月13日がそうだった。「きょうからマスク着用緩和」が1面トップに載った。「個人の判断にゆだねる」という政府方針を受けて、市内の状況を報じている。

集客施設は、やはりスタッフはこれまで通りマスク対応、出入り口での体温測定やアルコール消毒などを継続するという。これはまあ当然だろう。

社会面=写真=では、「大野中、76年の歴史に幕」がトップだった。この日、公立中学校で卒業式が行われたことを伝える。隣の行政区に住む私の孫もその一人で、昼過ぎ、父親に伴われてわが家へ報告に来た。

大野中は四倉町にある。最後の卒業生は3人。式のあとに行われた閉校式では、リーディング劇「おしまいの詩(うた)」を披露した。

「昨年10月の文化祭『御城祭』で演劇に協力した劇作家、演出家の永山智行さん(宮崎県)の書き下ろし」作品で、同校のシンボルである“御城の松”を題材にした内容だという。

同校卒業生の1人が毎週、わが家に顔を出す。断片的な話は聞いていたが、こうして記事になったのを読むと、学校と地域のかかわり、歴史などが見えてくるように思えるのだった。

今年1月、山田町の民家で殺人事件が起きた。その容疑者がこの日、逮捕された。75歳の内縁の妻だった。

四家啓助元市長の葬儀の記事もあった。2人の弔辞が紹介されている。新聞折込の「おくやみ情報」に載ったとき、「元いわき市長・県議・市議」といった肩書はなかった。「花輪・生花・供物・香典はご辞退申し上げます」ともあった。

知人は「喪主の考えなのだろう」といっていたが、少なくとも故人をしのぶ際にはこのことが思い浮かぶにちがいない。

というわけで、3月13日の朝刊休刊日は夕刊を読んであれこれ考えた。夕刊は地域を知るための小窓。窓は小さいが、地域に開かれている。窓には地域を考えるヒントが映っている。

山田町の容疑者逮捕から、勿来町の強盗殺人事件に思いが至り、もう一つ大きな事件があったことを思い出す。

平成30(2018)年7月21日、土曜日。わが行政区から三つ先の行政区で殺人事件が発覚した。

翌日曜日、夏井川渓谷の隠居へ行くのに、ふだんは通らない現場の前の道路を利用した。検問が続いていた。

その日のメモ――。「職質。若いおまわり。『ここを昨夜通ったか』『通らない』『いつも通るのか』『通らない。ニュースで知って来た』」。事件は未解決のままだ。

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