2023年3月31日金曜日

ガードレールが付いた

                     
 雨の3月第3土曜日、18日。「おや、やっとガードレールが付いたか」。それから8日たった同26日の日曜日も雨だった。夏井川渓谷にある隠居からの帰り、車を止めてカメラを向けた=写真。

 いわき市平の市街からいうと夏井川渓谷の入り口、小川町高崎地内で県広域農道が県道小野四倉線と接続する。まだ利用はできない。

同農道は、四倉町玉山地内を起点、小川町高崎地内を終点とする延長10キロほどの天空のハイウエーだ。

県道と、民家をはさんで並走するJR磐越東線には橋が架かる。跨道橋はだいぶ前にできたが、その山側の跨線橋はどうか。グーグルアースではまだ線路が見える。

私が若いころ取材を担当した市議会でも、この農道が議論になっていた。そのころのイメージは、いわき市内の中山間地を縫う大規模農道だったが、現実の農道はかなり短い。

私が夏井川渓谷の隠居へ通い始めたのは、阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件のあった平成7(1995)年の5月だ。

隠居からの帰り、小川町の平地で橋を渡り、夏井川の右岸道路を通ったり、左岸の二ツ箭山中腹の山道を利用したりした。

その山道が広域農道だった。とはいえ、通行可能なところはほんのわずかで、四倉との境に設けられた「上岡トンネル」は、平成15(2003)年10月に完成したあとも通行止めになっていた。

遅々として進まなかった事業が震災を機に動き出す。終点部の高崎では平成30(2018)年夏、田んぼに土砂が運び込まれ、やがて県道のそばに「新しい農道を造っています」「【復興】広域農道整備3003工事」の看板が立った。

さらに翌年秋、上岡トンネルが通れるようになったと聞いて、隠居へキュウリを採りに行った帰り、初めてトンネルをくぐった。そのときの文章がある。

――小川の平地から国道399号を駆け上がって二ツ箭山腹の広域農道に出る。トンネルを抜けると、もう四倉分だ。右手下方に小集落が見える。橋を渡る。道路はゆるやかにカーブし、アップダウンしながら高度を下げる。やがて、平地に下りて県道八茎四倉線に合流した。四倉町と小川町の丘陵を結ぶ「福島県広域農道」の全ルート約10キロがやっと頭に入った――。

残るは国道399号から西側、終点部までの整備だ。小川町福岡地内までは道路ができている。その先に加路川がある。ここもグーグルアースで見ると橋が架かり、磐東線の近くまで道路ができていた。

 令和4(2022)年2月、県道の跨道橋~取付道路の間にあった仮設信号機が撤去された。そのとき、こんなことを書いた。

――始まりから終わりまで足かけ4年、毎週のように見てきた工事現場はほかにない。しかも、今度はこの新しい道路を利用して自宅と隠居の間を行き来できる。いよいよ開通が近い?――

いやいや、ガードレールが付くまでだって時間がかかったのだ。期待しないでゆっくり待つことにしよう。

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