今年(2023年)、アカヤシオ(岩ツツジ)の開花を確認したのは3月18日だった。夏井川渓谷の集落で寄り合いがあり、それに参加したとき、対岸の岩場に淡いピンクのかたまりが1カ所、目に入った。
それから8日後の同26日午後、渓谷にある隠居へ出かけた。18日も、26日もあいにくの雨だった。26日は対岸の斜面(前山)がピンクの花で点描されていた=写真。隠居の庭から傘を差して「花見」をした。
以下は3月21日付の拙ブログ「『三春』以上」と重なるので、ご了承を――。とにかく、今年は木々の花が早い。まだ3月だというのに、一気に春がきた。
春のシンボルは桜のソメイヨシノ。地方気象台がそれぞれの標本木をチェックし、5輪以上花が咲いていれば「開花」を発表する。
小名浜測候所が無人化されて以来、小名浜の桜の開花発表は地元の小名浜まちづくり市民会議が、市内在住の気象庁OBの協力を得て実施している。今年は3月23日に開花が発表された(22日午後に開花を確認)。
福島地方気象台が担当する福島市では翌24日に開花が確認された。小名浜と1日違いというのは、たぶん観測史上初めてだろう。ともかくも、いわき市は「東北で最初に春が訪れるまち」という面目を保ったかたちだ。
今年は標本木のソメイヨシノはもちろん、街なかのそれも、庭のプラムも、レンギョウも早々と咲き出した。
夏井川を軸にした下流のわが生活圏でも、専称寺の裏山から続くなだらかな尾根筋では、ヤマザクラが開花した。
これにはちょっと驚いた。というのも、木々の開花には「順序」がある。ヤマザクラはソメイヨシノのあと、という「経験則」が今年は通用しない。
はっきりいうと、いわきの桜開花は、ほかの木々の開花にまぎれて、一歩も二歩も遅れをとった――そんな印象がぬぐいきれない。
その代わりかどうか、SNSでは遠近問わず、各地の桜情報が随時アップされる。小川諏訪神社のシダレザクラが見ごろだというので、26日の午後、渓谷の隠居へ行く途中、車の中から様子をうかがった。雨で人は少なかったが、境内を彩るピンクがはっきり見えた。
平地のヤマブキは、経験則ではソメイヨシノの花が散ったころに咲き出す。これも小川諏訪神社の近くで咲いていた。
渓谷ではアカヤシオだけでなく、ヤマザクラも花をつけ始め、木々も芽吹いてきた。すでに葉を開いたカエデもあった。
わが家の庭も日ごとににぎわいを増している。プラムの花はとっくに満開だ。地面からせりあがり、うなだれるように白い花を咲かせているのはスノーフレーク。
サンショウはと見れば、木の芽を吹いている。これは例年並みだろう。渓谷の住人はこの木の芽を好む。かむと舌が軽くしびれる。さんしょう味噌と佃煮、あるいは料理に添える。もう少したったら、何枚か摘んで食卓に出そう。
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