川内村の「獏原人村」で採れた「白樺水」が今年(2023年)も届いた。たまたま手元に役所の会議で出た「天然水」のペットボトルがある。二つを並べてみた=写真(左が白樺水、右が天然水)。
白樺水は、天然水ほどには透き通っていない。樹液だから当然だろう。この樹液を口に入れるとほんのり甘い。去年初めて味わったときの感動がよみがえる。
白樺水を届けてくれたのは、獏原人村で鶏を飼って生計を立てている風見正博さん。毎週金曜日、ほかの人の分も含めてわが家へ卵を持って来る。
去年、白樺水をちょうだいしたときにも書いたことだが、私が見聞した各地の白樺について、おさらいを兼ねて再掲する。
白樺が自生する北海道では、春に白樺樹液まつりを開く。白樺の幹から樹液を採取して飲ませたり、カレーをつくったりする、ということをネットで知った。
北海道の北方、サハリン(樺太)にも白樺は自生する。道路をつくったり、山火事が起きたりすると、真っ先に生えてくる。
7年前の夏、同級生4人でサハリンを訪れ、オホーツク海側の道路を北上した。道の両側は白樺の林だった。今の時期、サハリンでも白樺の樹液採取が行われていることだろう。
いわき市を含む阿武隈高地には、白樺は自生しないといわれている。三和町の芝山(819メートル)にある小さな白樺林は植栽されたものらしい。川前町の「いこいの里鬼ケ城」レストハウス周辺にも白樺が何本かある。これも植栽だろう。
いわき市平中神谷地内から阿武隈高地の峰々を越えて山形県南陽市に至る国道399号沿いはどうか。
今は十文字トンネルが開通したので、隣の川内村へはわりと簡単に行けるようになった。以前は標高700メートルほどの峠(十文字)が立ちはだかっていた。
峠を下ると、すり鉢の底のような戸渡(とわだ)地区に出る。戸渡に旧小川小戸渡分校の建物が残っている。校庭と道路をはさんだ南側に、白樺が数本、少し間隔を置いて並んでいる。配置具合からして、これも植栽されたものだろう。
去年、初めて白樺水をちょうだいしたとき、獏原人村の白樺は自生か植栽かわからないと書いたら、風見さん本人からコメントが寄せられた。「白樺の木は3本ある、誰かが植えたようだ」
自生であれば、阿武隈高地の低山帯から白樺の林が見られるはずだが、それがない。阿武隈の白樺は植栽という確信を持てるようになった。
なにはともあれ、白樺水は春先限定の貴重な森の恵みだ。白樺水でコーヒーを淹(い)れたらおいしかったと、北海道の人がネットで報告していた。
では、焼酎の「白樺水割り」はどうか。これも後味がよかったらしいので、すぐ試してみた。まず焼酎を口に含む。次に、チェイサーとして白樺水を流し込む。なんというか、白樺水の甘い後味が際立つように感じられた。春の新しい楽しみ方には違いない。
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